岸田劉生展@東京ステーションギャラリー
- 2019.10.26 Saturday
- 11:00
JUGEMテーマ:美術鑑賞
東京ステーションギャラリーでの岸田劉生展を見てきました。
最初のころの肖像画は、非常にオーソドックスで破綻のない仕上がりです。
どちらかというと、印象派からのタッチも伺える好感の持てる絵画でした。
しかし、結婚してしばらくして北方ルネッサンスのデューラーに傾倒し、微に入り才を穿ち描写を突き詰めていく劉生のスタイルが始まります。
デューラーにも感じられるのですが、見えるものをすべて描いてしまうと、だんだん気持ちが悪くなっていくのですね。
それが有名な麗子像にも出ていて、狙っていたのかどうなのかわかりませんが、ヌメッとした妖怪のような幼女になってしまっています。
それから東洋美術に傾倒していき、日本画まで描いています。
結核を病み芸者遊びなどで放蕩し生活が乱れてゆき、支援者がなんとか油絵の世界に戻そうとしたころには気の抜けたような絵になってしまっていました。
最後は満州で何枚か絵を描いていますが、私にはあまりピンとくるものではありませんでした。
好きではないのですが、中学、高校の美術史の教科書には必ず麗子像が載っていてとても引っ掛かる絵でした。
なんで自分の娘をこんなに気持ち悪く描くのだろう?
写真で見る麗子さんは、絵とは似ていない。
画家にとって目の前の娘をそのままに写しているのではないのかしら?
ずっと疑問で、今回何枚見てもやっぱり気持ち悪くて、今ではもっと気持ち悪い絵がいっぱいありますから随分鈍感にはなりましたけれども、岸田劉生という人の思考回路というのは、やっぱり良く解りませんでした。